バイデン米政権が、中国軍の戦闘能力向上を押さえ込むために実施した半導体を巡る対中輸出規制を強め、日本やオランダにも協力を呼び掛けた。輸出規制で企業がビジネスチャンスを失う中国経済とのデカップリング(切り離し)が進んでも経済安全保障の対応を重視する方針だ。日本は今後、半導体以外の先端技術でも米国から対中規制の協力を求められる可能性がある。
バイデン政権は、中国が高性能の半導体を使って人工知能(AI)や兵器システムを開発して戦闘能力を飛躍的に高めることを防ぐため、大規模な半導体関連の輸出規制を昨年10月に導入した。AIに使われる画像処理半導体(GPU)や電子機器の頭脳となる高性能な「ロジック半導体」の製造装置などの対中輸出を米商務省の許可制とした。
ロジック半導体の製造装置は日本やオランダの企業も供給できるとされ、米政府は両国に輸出規制への協力を要請。レモンド米商務長官は昨年11月、米テレビのインタビューで協力要請に関し「日本とオランダは米国に追随するだろう」と楽観的に語った。