亡き恩師へ、感謝の思い胸に初マラソン 西原加純

初マラソンで悔しい結果となった西原加純=29日午後、ヤンマーフィールド長居(南雲都撮影)
初マラソンで悔しい結果となった西原加純=29日午後、ヤンマーフィールド長居(南雲都撮影)

29日に行われた「第42回大阪国際女子マラソン」(産経新聞社など主催、奥村組協賛)で、亡き恩師への感謝を胸に、西原加純(にしはら・かすみ)(33)=シスメックス=が初マラソンを完走した。結果は28位と不完全燃焼に終わったが、「練習を積める体を作って再チャレンジしたい」と前を向いた。

この日は給水に失敗するなどしてペースを崩し、25キロ付近ではリタイアもよぎった。「これがマラソンか」。初の42・195キロは苦難の連続だったが、収穫もあった。

佛教大で駅伝選手として活躍し、全国優勝も経験。そんな西原を高校時代から支えたのが森川賢一監督だった。佛教大、ヤマダ電機(現ヤマダホールディングス)でも西原を指導し、一昨年からはともにシスメックスに移籍。師弟関係は10年以上にもおよび、「私の力を、私よりも信じてくれていたと思う」。レース前には「大丈夫」と励まし、思うような結果が出なかったときには「練習メニューを考えたのは僕。僕が悪かったんや」。温かく成長を見守ってくれていた。

突然の訃報が届いたのは昨年12月29日。森川監督が脳梗塞のため、64歳でこの世を去った。西原はあまりのショックに「まだ実感がわいていない」と明かす。

初マラソンはほろ苦い結果に終わったが「新しい世界を見ることができた。これで終わらずまた走りたい」。監督が背中を押してくれる-。次のスタートラインに立ったときも、きっとそう思えるはずだ。(藤木祥平)

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