トランプ氏、24年大統領選へ始動 指名争い序盤の重要2州で演説

28日、米東部ニューハンプシャー州の会合で演説するトランプ前大統領(ゲッティ=共同)
28日、米東部ニューハンプシャー州の会合で演説するトランプ前大統領(ゲッティ=共同)

【ワシントン=大内清】2024年米大統領選への出馬を宣言している共和党のトランプ前大統領は28日、返り咲きに向けた選挙活動を実質的にスタートさせた。大統領候補指名争いの序盤でカギを握る東部ニューハンプシャー州で演説したのに続き、各地に先駆けて南部サウスカロライナ州での選対指導部を発表。出馬が取り沙汰される同党の他候補が出馬宣言のタイミングを見計らう中で機先を制する構えだ。

「かつてない怒りと責任を感じている」「バイデン(大統領)の再選を阻止する」。サウスカロライナの州都コロンビアで演説したトランプ氏は、民主党バイデン政権による巨額歳出などを批判し、再選に向けた意欲を語った。

大統領選の候補者レースは、民主、共和両党とも中西部アイオワ州の党員集会を皮切りとするのが通例だったが、民主党は昨年12月、次回以降の初戦をアイオワより有色人種の割合が多いサウスカロライナ州に変更すると決定。これを受けて共和党の指名争いでも同州の注目度が高まった。

また同州は、トランプ氏が支持基盤とする保守的なキリスト教福音派が多い「バイブル(聖書)ベルト」に含まれる。出馬した場合は最大のライバルになると目される南部フロリダ州のデサンティス知事が同派の間で人気を高めていることを念頭に、地元有力者らの支持をいち早く固める狙いもある。

ただ共和党内では、昨年11月の中間選挙で大勝を逃したのは、20年大統領選で「大規模な不正があった」とするトランプ氏の虚偽主張が無党派層に嫌われたためだとする責任論があり、同氏を早くから支持するのをためらう地方議員も多いと指摘される。先手を取って候補指名への流れを作ろうというトランプ氏の戦術が奏功するかは不透明だ。

一方、CNNテレビによるとトランプ氏はこの日、記者団に、自身の政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー前サウスカロライナ州知事から、指名レースに参戦する意向だとの電話を受けたと明らかにした。トランプ氏は「思うようにやればいい」と答えたという。共和党ではほかにも、トランプ氏と決別したペンス前副大統領らの出馬が取り沙汰されている。

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