レース経過 安藤3位、デッセ優勝

3位でゴールする安藤友香=ヤンマーフィールド長居(安部光翁撮影)
3位でゴールする安藤友香=ヤンマーフィールド長居(安部光翁撮影)

【レース経過 0時15分スタート】「第42回大阪国際女子マラソン」(産経新聞社など主催、奥村組協賛)は午後0時15分、ヤンマーフィールド長居(大阪市東住吉区)をスタートした。同市内を巡るコースは12年ぶりに一部変更され、42・195キロで行われる。

東京五輪1万メートル代表の安藤友香(ワコール)や前回大会2位の上杉真穂(スターツ)、同6位の佐藤早也伽(積水化学)らが日本勢の有力選手。今大会は3年ぶりに海外招待選手を招聘していて、マウリーン・チェプケモイ(ケニア)、ヘヴン・ハイル・デッセ(エチオピア)、メセレット・ゴラ・シセイ(同)のアフリカ勢3人が2時間20分台の自己記録を持っている。

一斉にスタートする選手たち=ヤンマーフィールド長居(安部光翁撮影)
一斉にスタートする選手たち=ヤンマーフィールド長居(安部光翁撮影)

ペースメーカーの設定は、第1ペースメーカーが5キロ16分35秒~16分40秒で2時間20分台を狙えるペース。第2ペースメーカーは5キロ17分0秒~17分5秒で、2時間24分切りを狙えるペースになっている。

今大会は2024年パリ五輪代表選考会として今年10月15日に開催される「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の選考レースの一つになっていて、「日本人6番手までで2時間27分0秒以内」などの条件をクリアすれば、MGC出場権を獲得できる。

【5キロ通過】

5キロ付近を走る先頭集団(甘利慈撮影)
5キロ付近を走る先頭集団(甘利慈撮影)

スタート時の気温7・5度、湿度48%とコンディションに恵まれてスタートし、先頭集団は16分39秒で5キロ地点を通過した。前回大会で松田瑞生(ダイハツ)がマークした大会記録のペースより11秒遅いが、2時間20分台を狙える順調なペースで飛ばしている。

ペースメーカーを除いて先頭集団は7人で、日本人選手は安藤、佐藤、上杉と岩出玲亜(デンソー)の4人。海外選手はチェプケモイ、デッセ、シセイの3人がつけている。5キロすぎの給水で、安藤はボトルを取れなかった。

【10キロ通過】

7キロ過ぎで転倒した佐藤(左)と岩出=29日午後0時39分(安元雄太撮影)
7キロ過ぎで転倒した佐藤(左)と岩出=29日午後0時39分(安元雄太撮影)

7キロ過ぎで岩出と交錯して転倒した佐藤が遅れる。両ひざから流血し足を引きずりながら再スタートして先頭集団から90㍍ほど遅れて走り続けるも、険しい表情が続いている。

先頭集団は10キロを32分56秒で通過。5~10キロは16分17秒とペースが上がった。日本人選手は安藤、上杉と岩出の3人。海外選手はチェプケモイ、デッセ、シセイがつけている。

10キロをすぎて岩出が遅れ始めた。

【15キロ通過】

15キロ付近を通過する先頭集団(甘利慈撮影)
15キロ付近を通過する先頭集団(甘利慈撮影)

先頭集団は15キロを49分30秒で通過した。集団は5人で、日本人選手は安藤、上杉の2人。海外選手はチェプケモイ、デッセ、シセイの3人。いぜんとして2時間20分切りが狙えるハイペースが続いている。

7㌔すぎに転倒した佐藤は懸命な走りを続いている。佐藤は15キロを先頭から33秒遅れの50分3秒の6位で通過。少しずつ先頭集団の差が広がっている。岩出は15キロを7位で通過した。

8位集団は、前田彩里(ダイハツ)や大東優奈(天満屋)らによる大きな集団になっている。

【20キロ通過】

20キロ付近を通過する安藤友香④(甘利慈撮影)
20キロ付近を通過する安藤友香④(甘利慈撮影)

7キロ過ぎに転倒した佐藤は大阪城公園に入って、19キロ手前で積水化学の野口英盛監督に止められてリタイア。沿道に座り込んで悔し涙を流した。

19キロ手前で積水化学の野口英盛監督に止められ、リタイアする佐藤早也伽=29日午後1時18分(安元雄太撮影)
19キロ手前で積水化学の野口英盛監督に止められ、リタイアする佐藤早也伽=29日午後1時18分(安元雄太撮影)

19キロ手前で上杉が遅れる。先頭集団は20キロを1時間6分0秒で通過。日本記録の2時間19分20秒に迫る高速ペースになった集団は4人で、日本人選手は安藤だけになった。チェプケモイ、デッセ、シセイの3人。上杉は17秒遅れの5位で通過した。

第2集団はMGC進出が狙える前田や大東が安定したペースで走っている。

【25キロ通過】

25キロ付近を通過する先頭集団(甘利慈撮影)
25キロ付近を通過する先頭集団(甘利慈撮影)

選手たちは今大会で新たにコースに組み込まれた長堀通のアップダウンを通過。中間点の前にチェプケモイが遅れ始め、先頭集団は安藤とデッセ、シセイのエチオピア勢の3人で中間点を1時間9分45秒で通過した。いぜんとして2時間19分台が狙えるハイペースになっている。

25キロ地点も先頭集団は安藤、デッセ、シセイの3人で1時間22分41秒で通過。安藤はペースメーカーの背後にぴったりとつけて、安定した走りをみせている。 日本人3番手を争う第2集団は前田、大東、竹山楓菜(センコー)、筒井咲帆(ヤマダホールディングス)、池田千晴(日立)、吉川侑美(ユニクロ)の6人で、MGC切符獲得が狙えるペースで展開している。

【30キロ通過】

30キロ過ぎ、先頭から遅れる安藤友香④(甘利慈撮影)
30キロ過ぎ、先頭から遅れる安藤友香④(甘利慈撮影)

25キロ過ぎの給水でシセイがもたついたが、遅れをすぐに取り戻した。30キロ地点も先頭集団は変わらず安藤、デッセ、シセイの3人で1時間39分34秒で通過。2時間19分台が狙えるハイペースが続いている。

ただ、30キロでペースメーカーが離れると同時にデッセ、シセイがペースを上げる、安藤が遅れて距離が開き始めた。日本人2番手は上杉で単独走が続く。

MGC出場権獲得を狙う日本人3番手の集団は、前田、竹山、筒井、池田、吉川らがペースを維持している。

【35キロ通過】

35キロ付近を通過する先頭のヘヴン・ハイル・デッセ②(甘利慈撮影)
35キロ付近を通過する先頭のヘヴン・ハイル・デッセ②(甘利慈撮影)

32キロすぎにデッセがシセイを引き離し、35キロはデッセが1時間56分01秒で通過した。安藤は35キロを先頭から26秒遅れの1時間56分27秒の3位で通過。まだ2時間20分台を狙えるペースで懸命に粘りの走りを続けている。

日本人2番手争いは上杉が後方の集団に吸収され、吉川、前田、池田の4人の争いになっている。竹山は35キロをすぎて、集団から少し遅れ始めた。

【フィニッシュ】

32キロ過ぎから後続を引き離したデッセがそのまま2時間21分13秒で優勝した。2位はシセイで、エチオピア勢がワンツーフィニッシュとなった。日本人トップとなる3位は安藤で2時間22分59秒でゴール。目指していた6年ぶりの自己ベスト更新には届かなかったが、8月にブタペストで行われる世界選手権の派遣設定記録2時間23分18秒はクリアし、代表候補に名乗りを上げた。

1着でゴールするヘヴン・ハイル・デッセ=ヤンマーフィールド長居(安部光翁撮影)
1着でゴールするヘヴン・ハイル・デッセ=ヤンマーフィールド長居(安部光翁撮影)

熾烈な争いとなった日本人2番手争いは、上杉が4位でゴール。5位吉川、6位前田、7位池田、8位大東の4人が順位とタイムの条件を満たし、新たにMGCの出場権を獲得した。(記録は速報値)

デッセがV、日本勢は安藤の3位が最高

3位の安藤「悔しい気持ちでいっぱい」

転倒の佐藤、19キロ手前で無念のリタイア

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