卓球の全日本選手権第6日は28日、東京体育館で行われ、女子シングルス準々決勝で、石川佳純(全農)が佐藤瞳(ミキハウス)を破り、4強入りした。
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豊富な経験を力に変えた。シングルスで優勝5回の石川がフルゲームを制した6回戦に続き、準々決勝でも逆転勝ち。2大会ぶりに4強入りした。「苦しい展開だったが、切り替えていいプレーができた。めげずに攻めていけた」。来月で30歳になるサウスポーは納得の表情を浮かべた。
相手は昨年の世界選手権団体戦にも出場したカット主戦型の佐藤。「カットの質がすごく高い」難敵に対し、第1ゲームはゲームポイントを握りながら、自身のスマッシュミスでジュースに持ち込まれて失った。
悪い流れにも、五輪3大会出場のベテランは動じない。第2ゲーム以降は今大会に向けて「1番練習してきた」というカット打ちで強さを発揮。相手がさばきづらい体の正面を徹底して狙い、隙を見て球質やコースを変えて翻弄。佐藤が攻撃に転じた際には巧みなブロックやドライブで応戦し、仕留めさせなかった。第4ゲームでは5-9から6連続得点と勝負どころを逃さず、佐藤は「引き出しが多く、駆け引きがうまい。そこにのまれてしまった」と脱帽した。
全日本選手権出場は小学5年での初参戦から20年連続となる。「これだけ長く続けてこられるとは思っていなかった。周りの支えがあってこそ」と感謝を忘れない。準決勝の相手は同じ左打ちの早田。「バック対バックの展開が多いと思う。相手のパワーに対抗できる、自分らしいプレーをしたい」。2大会ぶりの頂点への道筋は描けている。(奥村信哉)