主張

国会の代表質問 国民守る議論が足りない

施政方針演説に臨む岸田文雄首相=23日午後、衆院本会議場(矢島康弘撮影)
施政方針演説に臨む岸田文雄首相=23日午後、衆院本会議場(矢島康弘撮影)

岸田文雄首相の施政方針演説に対する国会の代表質問が終わった。

政府が昨年末に国家安全保障戦略など安保3文書を閣議決定したことを踏まえ、抑止力や対処力の向上に資する中身の議論が求められている。

防衛増税の議論にばかり焦点が当たったのは残念だ。一番大事なのは、国民を守るための防衛力のあり方を議論することではないのか。

そうした観点に立てば、日本維新の会の馬場伸幸代表が指摘した、台湾有事は「対岸の火事ではない」との認識は正しい。地下シェルターの整備などを求めたのも妥当である。

馬場氏は安保3文書について「空想的平和主義から脱却し、戦争を抑止する真の平和主義へとかじを切った」と評価し、保有できる防衛力の「必要最小限度」の解釈見直しや、米国の核兵器を自国内に配備して共同運用する「核共有」の議論開始も提案した。

自民党の茂木敏充幹事長は、中国が軍創設100年となる2027年までに軍の近代化を進め、能力を高める「奮闘目標」を掲げていることに触れ、「今後5年間の取り組みが死活的に重要だ」と強調した。その通りだが、ならば台湾有事についても、具体的に触れるべきだった。

防衛費をめぐっては、今後5年間の総額を約43兆円とすることを決めている。野党第一党の立憲民主党の泉健太代表は「額ありき、増税ありき、国会での議論なし、の乱暴な決定だ」と批判した。

だが、有識者会議や与党内の議論などを経て決めており、瑕(か)疵(し)はない。政府で決定した後、国会で議論するのは当然といえよう。

泉氏は反撃能力に関して「相手国のミサイル発射着手段階における、日本からの敵基地攻撃は、国際法違反の先制攻撃にならざるを得ず、反対の立場だ」と述べた。国際法の正しい解釈ではない。

核ミサイルも抑止しなければならない中、反撃能力から「着手段階」の選択肢を外すことは、抑止力の低下を招き、国民を守ることにはつながらない。

共産党の志位和夫委員長は、反撃能力について「日本を米国の戦争に巻き込み、国土を廃虚と化す。これが正体だ」と難じたが、完全な誤りだ。反撃能力は抑止力向上に不可欠である。来週からの衆院予算委員会では、国民を守る議論を深めてほしい。

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