世界保健機関(WHO)が30日で3年を迎える新型コロナウイルスの緊急事態宣言の終了を視野に動き出した。ただ、専門家からは「時期尚早」との見方も上がる。中国での感染拡大やオミクロン株の新たな派生型の拡散などもあり、世界的流行の収束は見通せない状況が続く。
新型コロナ流行では2020年1月の緊急事態宣言以降、英国で確認された変異株「アルファ株」、インドで発見された「デルタ株」が広がり、重症化する患者が増加した。21年11月には南アフリカで感染力の強い「オミクロン株」が見つかり、世界に拡大。WHOによると、22年1月には1週間当たりの世界の新規感染者数は過去最多の2300万人を記録した。
各国はワクチンの追加接種や行動規制の強化などで対応し、感染拡大を抑制。ワクチンも普及したため、欧米諸国ではマスク着用を含む規制が緩和され、「ウイルスとの共生」が進む。昨年秋以降、世界で1週間当たりの感染者はおおむね200万~300万台、死者は1万~2万人で推移。WHOのテドロス事務局長は昨年12月、「来年のいずれかの時点で緊急事態ではないといえることを望む」と宣言終了に期待を示した。