東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、広告大手「電通」の複数の幹部が、東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、談合の事実関係を認める趣旨の供述をしていることが27日、関係者への取材で分かった。当初は違法性の認識はなかったと説明していたという。
特捜部は、電通を含めた企業幹部など関係者の聴取を進めており、立件へ向けた詰めの捜査を進めているもようだ。
談合が疑われているのはテスト大会の計画立案支援業務の一般競争入札。平成30年に計26件実施され、電通や業界2位の「博報堂」など9社と、うち2社による共同事業体が落札した。総額は計約5億4千万円で、電通はこのうち5件(計約8千万円分)を落札した。26件の大半が「1社応札」だったとみられる。
これらの企業は、随意契約でテスト大会や本大会の運営も担い、契約総額は少なくとも200億円以上に上る。
特捜部は、入札案件ごとに企業名が割り振られた「リスト」を押収。リストは、発注方法が決まる前の29年から大会組織委員会の専任代理店だった電通が作成しており、入札が始まる直前の30年春には、組織委から電通へメールでリストが送信された。
関係者によると、電通から組織委に出向していた幹部社員らが、組織委大会運営局の元次長とともにリストを更新するなどしていたという。参加企業のほとんどがリストを目にしていた可能性があり、ほぼリスト通りに各企業が応札していた。
特捜部と公正取引委員会は昨年11月下旬以降、電通や博報堂など、9社中8社を独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで家宅捜索。下請けに入った企業も捜索した。