大手電力の送配電子会社が持つ新電力の顧客情報の不正閲覧問題で、経済産業省は27日、大手電力10社と送配電子会社に同日までの報告を求めていた緊急点検を締め切った。すでに不正閲覧が判明し、経産省から報告書の提出を求められている関西、東北、九州、四国の4社に加え、中部、中国両電力でも新たに不正閲覧が判明。同省は中部電力の小売り子会社と送配電子会社に報告を命じた。大手電力をめぐっては電力料金のカルテル問題もくすぶり、電力自由化を揺るがす業界の体質が問われている。
「今回の事案は、公正な競争を揺るがしかねないもので極めて遺憾だ」。27日の会見で西村康稔経産相は一連の問題を改めて強く批判した。西村氏は各社からの報告を踏まえ、対応を検討する方針を強調した。
最初に問題が発覚した関西電力は、昨年9~12月の3カ月間だけでも社員ら730人による約1万5千件の顧客情報の不正閲覧が明らかになっている。このうち一部は、顧客獲得のための営業活動に利用していたことも分かっている。