大阪・泉南市中1自殺、遺族と市教委が信頼関係築けず 第三者委が検証

松波翔さんの自殺を受けて設置された第三者委員会=27日、大阪府泉南市
松波翔さんの自殺を受けて設置された第三者委員会=27日、大阪府泉南市

大阪府泉南市で昨年3月、市立中学1年の松波翔(しょう)さん=当時(13)=が自殺した問題で、市長直轄で調査にあたる第三者委員会の第1回会合が27日開かれた。この問題をめぐっては遺族と市教委の信頼関係が崩れ、事実上調査が継続できない状態になり、市長部局が第三者委を設置して改めて調査する異例の事態になった。第三者委では、自殺の背景や、学校と市教委の対応に問題はなかったかといった点について検証する。

新しく発足した第三者委は弁護士や教育の専門家ら7人で構成。委員長の宮島繁成弁護士は「若い命が失われた事案に対し、真摯(しんし)に調査に取り組んでいきたい」と述べた。

母親によると、翔さんは小学校時代からいじめや教師との関係に悩み、断続的に不登校に。中学入学後も同級生から陰口を受けるなどし、不登校が続いた。昨年3月、自宅近くで自殺した。

母親の説明によると、翔さんは小学校、中学校の教師に対応を求めたが、十分に応じてもらえなかった、として、不信感を募らせていたという。

翔さんの自殺を受け、市教委は国が指針で定めた基本調査を実施しようとしたものの、遺族との信頼関係が築けず、十分な調査が実施できなかった。

昨年7月、市の第三者機関「泉南市子どもの権利条例委員会」が市教委の対応について「放置は異常事態」と批判し、事態が明らかになった。

第三者委の発足を受け、山本優真市長は「調査結果を踏まえ、必要な対策を講じていきたい」と述べた。市教委は「信頼関係を築けなかったことは力不足。調査にはしっかりと協力していく」と話している。

母親は「翔は中学校に通えることを望んでいたが、教師たちを信用できなくなっていた。そんな状況に絶望してしまったのではないか。長年にわたり学校、市教委は私たちの訴えに対応してこなかった」と話していた。

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