新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「2類」相当から季節性インフルエンザ並みの「5類」となることで診療できる医療機関が増え、医療逼迫(ひっぱく)の緩和が期待される。ただ、院内感染対策に不安を抱える施設もあるなど即座に間口が広がるかは見通せない。入院調整や医療費の患者負担の在り方など課題も残る。
新型コロナは感染症法上、5類になれば原則、全ての医療機関での受診が可能になる。厚生労働省によれば、コロナ感染が疑われる際に受診できる医療機関は今月18日時点で約4万2千施設。全国医療機関(約11万2千施設)の約4割にとどまる。5類に移行すれば、限られた発熱外来で実施していた検査や診療が一般の医療機関に広がることが期待されるが、判断は各医療機関に委ねられるため、現場には戸惑いの声も上がる。
神奈川県鎌倉市の「章平クリニック」は患者用の出入口が1カ所で、コロナとそれ以外の患者の動線を分けることは難しく、発熱外来を設けてこなかった。湯浅章平院長は「高齢患者を多く抱え、動線が分けられない中では院内感染への不安が拭えない」と説明。同じような悩みを抱える開業医は多く、「5類に移行しても診療できる医療機関がすぐに増えるとは思えない」と語る。