13日付小欄で「安保3文書」改定を岸田文雄首相の成果と書いた点について、読者から指摘を頂いた。「専守防衛」と「非核三原則」の文言が残っているのに、これを是認するのはおかしいのではないか、という趣旨だ。確かに産経を愛読されている方なら、そう感じるのはもっともかもしれない。
反撃能力の保有をうたっても、政治家が専守防衛の言葉をかたくなに残す態度は運用上の支障となりかねない。非核三原則の堅持は、日本が主体的に核抑止を考える議論を妨げてきた。国家安保戦略の文中、いわゆる核の傘を意味する「拡大抑止の提供を含む日米同盟」と非核三原則の堅持の2つが連続して書かれているのを理解するのは困難だ。
ほかにも公明党の抵抗などを受けて中国の「脅威」を明記しなかったこと、台湾との今後の関係強化について具体的に踏み込まなかった点など問題はある。それでも、日本が3文書と防衛費増を打ち出したことを同盟国の米側は歓迎し、戦後の防衛政策の転換点となったのは間違いない。そうした観点から、総じて是認したものとご理解いただきたい。