中学生棋士の仲邑菫三段(13)が、念願の白星をあげた。26日に第2局が行われた囲碁の第26期女流棋聖戦三番勝負。第1局(19日)に勝利し、3連覇にあと1勝と迫っていた第一人者の上野愛咲美(あさみ)女流棋聖(21)=女流立葵杯=を、最も差の小さい半目差で破った。
双方が時間使い切った激戦
「第1局は力を出し切れずに後悔した。勝ち負けにこだわらず、自分の力を出そうと考えていました」と仲邑三段は笑顔で振り返った。
持ち時間が両対局者に3時間ずつある十段戦などとは異なり、女流棋聖戦は1手30秒以内に打つことが求められる早碁棋戦。持ち時間のかわりに1分の考慮時間が10回あり、第1局(19日)では9回消費したのに対し、上野女流棋聖は2回しか使わなかった。第2局も、先に考慮時間を使い始めたのは仲邑三段だった。
しかし「めったにないぐらい序・中盤で形勢がよくなり、満足して緩んでしまった」と反省した上野女流棋聖に対し、「粘り強く打つことだけ考えた」という仲邑三段がピタリと追走。しびれを切らしたか、上野女流棋聖は「これしかない半目負けのコースを選んだ」。1分の考慮時間を双方10回すべて使い切った激戦を、仲邑三段が制した。
第1局の反省生かす
仲邑三段は開幕前、上野女流棋聖について「早碁に強いイメージがある」と語っていた。同じ対局形式の男女混合の若手棋戦「若鯉杯」で上野女流棋聖は昨年11月、大会史上初の連覇を果たしている。先を読む力に優れ、着手の決断が早い。ここぞという場面で強烈な一撃を放つことから「ハンマーパンチ」と男性棋士にも恐れられる。
「第1局の反省もある。戦いの碁にならないよう、警戒していた」と、冷静さを失わなかった13歳。「自分の力を出せるようにしたい」と繰り返した仲邑三段が次局、囲碁界の歴史を塗り替える一戦に臨む。
囲碁の仲邑菫三段が女流棋聖戦で勝利 最年少タイトルへあと1勝