1月21日は中華圏の旧正月・春節の大晦日(おおみそか)だった。その夜、米国ロサンゼルス郊外のダンススタジオで銃乱射事件が起き、男女11人が殺害された。現場はアジア系住民が人口の6割を超える地区。逃走していた同じくアジア系の容疑者の男は自殺したという。
当初、米マスコミの関心は事件がアジア系に対する「ヘイト犯罪」か否かだった。ところが、容疑者もアジア系と判明してからは、人種差別問題というよりも容疑者個人の動機に関心が移りつつある。
そうだとしても、今米国のアジア系社会で何が起きているのか。ロサンゼルスの人種差別問題専門家といえば、筆者が思い付くのは唯(ただ)一人。友人でもある米ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(SWC)副所長のA・クーパー師だが、何とその日、同師は東京に滞在していた。偶然とはいえ、妙な因縁を感じる。