トヨタ次期社長への重責打診はタイのサーキットで 爆音の中「ちょっとお願いが…」

オンラインで記者会見するトヨタ自動車の佐藤恒治執行役員(左)と豊田章男社長。4月1日付で社長を交代する=26日午後
オンラインで記者会見するトヨタ自動車の佐藤恒治執行役員(左)と豊田章男社長。4月1日付で社長を交代する=26日午後

トヨタ自動車の次期社長に内定した執行役員の佐藤恒治氏(53)が、豊田章男社長から重責の打診を受けたのは、昨年12月にタイで開催されたレースのサーキット場だった。「ちょっとお願いがあるんだけど、社長をやってくれない」と言われ、「本当に冗談だと思った」。エンジンの爆音で周囲の他の人間には聞こえない。相手を緊張させない豊田氏の心遣いと、情報管理術だった。

根っからのエンジニアで「笑顔になる車を造るのが大好き」が口癖。カローラの部品開発に携わり、トヨタの高級車ブランド「レクサス」部門のトップなどを歴任。水素を燃やして走るエンジン車の開発も担う。豊田氏とともに開発車に乗る機会も多かったという。

「車を造り続ける社長でありたい。トヨタのあり方を車という形で示したい」と熱く語るが道は険しい。「とにかくまず実践する、行動するという実行力を前面に意識しながら、取り組んでいけるチームを作っていきたい」。53歳は表情を引き締めた。(黄金崎元)

トヨタ自動車社長に53歳の佐藤恒治氏が昇格 4月1日付、豊田章男氏は会長に

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