トヨタ自動車は26日、4月1日付で豊田章男社長(66)が代表権のある会長に就き、後任の社長に現在は執行役員の佐藤恒治氏(53)が昇格する人事を発表した。社長交代は平成21年以来、約14年ぶり。トヨタは脱炭素社会の実現に向け電気自動車(EV)などの販売拡大を目指している。豊田氏はバトンを渡し経営陣の若返りを図る。
トップ人事は、26日に開いた臨時取締役会で決定。佐藤氏は、6月に想定される定時株主総会の承認を経て取締役に就く。内山田 竹志会長(76)は4月1日付で会長を退き、定時総会を経て取締役も退く。
豊田氏は26日午後、自社のオンラインメディアで、社長交代を決めた理由について、内山田氏の会長退任がきっかけだと説明。「トヨタの変革をさらに進めるためには、私が会長となり新社長をサポートする形が一番良い」と決断の理由を語った。豊田氏が取り組んだ商品力強化などに成果が出ており、「バトンタッチのための土台は作れた」との認識も示した。
また豊田氏は、佐藤氏を次期社長に起用する理由について、「トヨタの思想、技、所作を身に着けようと、車づくりの現場で必死に努力をしてきた」とし、その資質と姿勢を挙げた。
佐藤氏は平成4年にトヨタに入社。エンジニア出身で、高級車ブランド「レクサス」のチーフエンジニアを務めるなど、車づくりに長く携わってきた。26日の配信で佐藤氏は「これからの車は、モビリティー(乗り物)へと大きく進化していく。車の本質的な価値を守り、新しいモビリティーの形を提案していきたい」と抱負を述べた。
自動車業界は、電動化や自動運転への対応など変革期にある。トヨタはハイブリッド車(HV)に強みを持つが、EV販売では海外勢が先行している。
トヨタ、経営陣の世代交代で変革加速 豊田章男氏は業界応援団に