純白の美しさと、人の命を奪う恐ろしさの二面性を象徴する存在なのだろう。雪女の伝承は雪国を中心に日本各地に残っている。ところが、明治時代の文学者、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が著した『雪女』の舞台は武蔵の国(東京、埼玉付近)である。
▼吹雪の夜、渡し船小屋に避難した木こりの茂作と巳之吉の前に白装束の美女が現れる。茂作は美女に息を吹きかけられ凍え死んでしまう。小泉家で働いていた親子は、現在の東京都青梅市の出身だった。2人は村に伝わる怪談を八雲の妻セツに話したらしい。
▼10年に1度の「最強の寒波」という触れ込みの雪女が、24日夜から日本列島に襲来している。気象庁は首都圏でも積雪ありと予想していた。数年前の雪の夜、帰宅途中に転倒して腰を打撲した小欄は震えあがっていたが、朝の犬の散歩ではころばずにすんだ。もっとも普段、雪の被害が少ない地域を中心に混乱が広がった。