習「一強体制」の脆弱性
中国では昨秋の一連の政治日程を通じて習近平の個人独裁体制が確立された。習に異を唱える者はもとより、冷静で公正な立場から習に助言することさえはばかられるような雰囲気が指導部内に漂う。習一強体制は盤石なようにみえながら、危うい政治決定により脆弱(ぜいじゃく)性を露(あら)わにし始めている。
あの強権をもって進められてきたゼロコロナ政策が一気に廃止された。大規模なPCR検査や住民の行動追跡、広範な市域のロックダウン…長きにわたり住民を不安と恐怖に陥れてきた制限のすべてが最終的に解除された。いかにも唐突な政策転換であった。