ウクライナ軍東部方面部隊のチェレバティ報道官は25日、激戦地である東部ドネツク州バフムト近郊の都市ソレダルから撤退したと明らかにした。同国メディアが報じた。ウクライナはソレダルを制圧したとするロシア国防省や露民間軍事会社「ワグネル」の主張を認めていなかった。一方、首都キーウ(キエフ)を含む各地に26日、ロシア軍のミサイル攻撃があった。ウクライナ軍が迎撃したが一部が着弾。キーウで1人が死亡、2人が負傷した。
ロイター通信によると、ウクライナ当局者は26日の露軍による攻撃で、ウクライナ全土で11人が死亡し、11人が負傷したことを明らかにした。
東部戦線の焦点は今後、数カ月間にわたって激戦が続いているバフムトを巡る攻防に移る見通しだ。
チェレバティ氏は、ソレダルから撤退したウクライナ軍が事前に構築した防衛線に移動したと説明。「兵員数では露軍側が3~5倍だったにもかかわらず、ウクライナ軍は敵に損害を与えて前進を食い止める任務を遂行した」と強調した。撤退は戦力の損耗を最小限に抑えるための戦術的決定に過ぎないとも述べた。
ドネツク州全域の制圧を狙う露軍にとり、同州の中心都市クラマトルスク方面への進出ルート上に位置するバフムトの制圧は不可欠だ。露軍はソレダルを確保することで、バフムトを防衛するウクライナ軍の補給路を断つ狙いとされる。
ドネツク州の親露派武装勢力「ドネツク人民共和国」のプシリン「首長代行」は25日、バフムト市内で戦闘が起きていると指摘。ワグネルの部隊が市内で前進しているとも主張した。タス通信が伝えた。
これに対し、ウクライナ軍参謀本部高官のコバリョフ氏は同日、「バフムトの状況はウクライナ軍の制御下にある」と指摘した。