六本木の国立新美術館で、「第39回産経国際書展新春展」が開催されている。
新春を彩る書展では、選抜形式の「現代書道20人展」、「現代の書新春展」があるが、「産経国際書展新春展」はこれらと異なり、産経国際書会最高顧問から評議員までの役員からなる「代表展」191点と大作6点、審査会員・無鑑査会員からなる「新春展Ⅰ」189点、会友・一般の公募からなる「新春展Ⅱ」467点、合計853点で構成される大規模な書展だ。
「代表展」には、最高顧問の齋藤香坡氏が、松図に李白詩を画賛風に配した書画作品、同山下海堂氏は、三言句「恭則壽」、風岡五城理事長は、陸游詩から春を告げる「梅花坼暁風」、第39回展実行委員長の髙橋照弘理事長代行は、妙味ある細線の行草で魅せる「王維詩」。ほかに名誉顧問の生田博子、石川天瓦、竹澤玉鈴、手島たいりく、常任顧問の今口鷺外、岩下鳳堂、岩田正直、青陽如雲、田村政晴、原田圭泉、故宮崎春華、理事長代行の坂本香心、渡邉麗の各氏らをはじめ、力作が展観されている。
恒例となった(超)大作には、青木錦舟、及川扇翠、伊藤牙城、髙橋峰月、宇野淳風、富岡桃翆の6氏が挑戦。青木常務理事は、波頭を背景に「源実朝の歌」を力強く表現。伊藤牙城理事は文天祥「正気歌」を楷行二聯に分かち書きして気を吐く。宇野淳風審査会員は「王昌齢詩」で、潤渇・粗密を工夫して妙味を醸す。
この新春展は、産経国際書展の各ジャンル、各層の作品水準を端的に示すものとなっているが、出品点数も毎年漸増し、若い層の作品も水準が上がり多彩で見ごたえのある展観になってきている。会期は、2月6日まで。(川浪惇史)