主張

広域強盗団 警察の総力を挙げ摘発を

殺人や強盗は強行犯と呼ばれ、警察の刑事部では捜査1課が担当する。対して詐欺や汚職などの知能犯は捜査2課の担当となる。犯行態様も捜査手法も大きく異なる。

だがこの犯罪グループは、どうやら両者にまたがる特徴を持つ。全国を社会不安に陥れる粗暴で残酷な犯罪グループに対しては、強行犯だろうが知能犯だろうが「検挙に勝る防犯なし」が治安回復の基本である。

警察には、なんとしても強盗団の全容を解明し、首謀者や指示役を摘発してほしい。

東京都狛江市で90歳の女性が亡くなった強盗殺人事件は、関東一円や広島、山口両県での強盗事件への関与も強く疑われている。

共通するのは、闇サイトで集められた実行犯が指示役の連絡を受けて被害者を結束バンドや粘着テープで束縛し、暴力をいとわず、金品を強奪する手口だ。

「オレオレ」などの特殊詐欺グループが闇サイトで集めた「受け子」に被害者と接触させる手口も酷似している。資産家や高齢の独居者らの情報も闇サイトにあり、これらを標的に計画を立てる。末端が現場で騙(だま)すか、奪うかの違いがあるだけである。

特殊詐欺ではそれなりのシナリオや演技力が必要だが、強奪はただ暴力に任せるだけだ。特殊詐欺については警察による啓発活動の成果もあり、平成26年をピークに被害金額は減少傾向にある。

こうした現状から首謀者が特殊詐欺のノウハウを生かし、手っ取り早く詐欺から強盗に手段を変えたとの見方もできる。

受け子や実行犯を摘発しても、ネットの匿名性に守られた指示役や首謀者にたどりつくには困難を極めるという共通点もある。

強盗団は通信手段に、ロシアで開発された「テレグラム」を使ったことが分かっている。サーバーを通さず、秘匿性が高く、時間を設定する自動消去機能もある。禁止薬物や銃器の売買にも使用されることが多いという。

また特殊詐欺では、暴力団や半グレ集団の構成員らが主導的な立場で関与し、有力な資金源としている実態も認められる。

警察は広域で犯行を繰り返す強盗団の壊滅に向け、都道府県警の連携だけではなく、強行犯や知能犯、サイバー犯罪や組織犯罪の各担当など、総力を挙げて治安の維持に努めてもらいたい。

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