平戸の大仏 令和5年度は薬壺、蓮華、頭部装飾具を補修へ・埼玉

仏像の制作や保存の過程などもパネルで本堂内で紹介されている「平戸の大仏」の観世音菩薩坐像(左)と薬師如来坐像=18日午前、埼玉県熊谷市(兼松康撮影)
仏像の制作や保存の過程などもパネルで本堂内で紹介されている「平戸の大仏」の観世音菩薩坐像(左)と薬師如来坐像=18日午前、埼玉県熊谷市(兼松康撮影)

埼玉県熊谷市の源宗寺の本堂にあり、木製の寄せ木造りの仏像としては、国内最大級とされる「平戸の大仏」について、「源宗寺本堂保存修理委員会」は、薬師如来坐像と観世音菩薩坐像の欠損部分の復元を4月以降に始めることを明らかにした。令和3年度に行った、2体を収蔵する本堂の保存修理の際に行ったクラウドファンディングなども再び活用する方針という。

欠損しているのは薬師如来の薬壺や、観世音菩薩の蓮華(れんげ)と頭部の装飾具。熊谷市立江南文化財センターの山下祐樹学芸員によると、薬壺や蓮華がないのは以前から分かっていたが、頭部の装飾具については「耳の上の頭髪部に2カ所、左右計4カ所の穴が新たに見つかり、頭部の周りを飾る装飾具を通す穴だったのではないかとみられる」という。観世音菩薩が高さ約3・9メートル、薬師如来が約3・5メートルの大きさで、旧本堂は狭く、2体の頭で天井を支えるような構造にもなっていたことから、頭髪部の穴について、以前は確認できていなかった。

欠損する前の薬壺や蓮華、装飾具についての史料などは見つかっていないため、一般的なものを参考に復元を進める方針だ。

2体の内部は空洞で「頭部だけでも推定150キロの重さがあり、微妙なバランスで安定しているため、補強のための補修作業も行う」という。額にある白毫などは現在、水晶を仮の形で取り付けており、これに関する最終的な作業も4月以降に行う予定だ。

平戸の大仏は17世紀に作られた。令和2年12月の旧本堂の解体に伴い、敷地内の仮設小屋に移された後、3年12月に新たに完成した本堂に戻された。委員会では本堂内にこれらの経緯を紹介するパネルを新たに設置した。山下学芸員は「文化財を保護する過程も次世代に伝えるべき重要な情報。今後も保存を続けていく動機づけになるのではないか」と指摘している。

4月以降に行われる復元作業は、3年度の本堂の修理と同様に、約50人の檀家(だんか)の負担や市の補助金、寄付などを活用する予定。3年度の本堂の工事で250万円を集めたクラウドファンディングも再び行われるという。山下学芸員によると、復元工事は8月頃までに終えたい意向で、それ以降に平戸の大仏の新たな姿がお目見えすることになりそうだ。(兼松康)

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