昨年、没後100年を迎えた文豪、森鷗外をめぐる話題が相次いだ。そのなかで鷗外宛て書簡400通の発見・公表や、命日に再放送された鷗外ドラマの制作にかかわったのが鷗外のひ孫で演出家の山田礼於(れお)さん(73)。節目の年に「鷗外さんのすごさを改めて感じた」と語った。
「(差出人の)そうそうたる名前を見て、これはいったい何だと驚きました」
鷗外の娘で作家の森茉莉(まり)と夫で仏文学者、山田珠樹の長男、●(爵の上の部分が「爪」でなく「木」、読み方は「じゃく」)さん(仏文学者、東京大名誉教授)の子の山田さんは、令和2年に親族宅で見つかった多数の書簡の衝撃を振り返る。夏目漱石、岡倉天心、川上貞奴、山県有朋ら明治、大正期の文学・美術・演劇界、政界などの50人以上から鷗外に送られたものだった。