大みそかの風物詩といえば、NHK紅白歌合戦である。昨年末の第73回の平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ)で午後9時からの後半は関東地区35・3%、関西地区36・7%と、過去最低だった前年を少し上回った程度だった。この視聴率はNHK総合で、リアルタイムで視聴した世帯の割合を示す。インターネットを通じた番組配信サービス「NHKプラス」を使い、スマートフォンなどで視聴した人もいるはずで、世帯視聴率だけを見て紅白を評価するのは難しい。
特に今回はテーマに「LOVE&PEACE-みんなでシェア!-」を掲げた。「シェア」という言葉に、視聴者が抱いた思いをソーシャルメディア上で発信してもらい、それらを分かち合いながら、一体感を抱いてもらえるような紅白を志向した意図がのぞく。
しかし、NHK自身はシェアの輪に加わろうとしただろうか。日本で利用者が多いソーシャルメディア「ツイッター」への関連投稿約37万件を収集、俯瞰(ふかん)してそう感じた。
アイドル登場で盛り上がり
収集したツイートは紅白の放送開始(12月31日午後7時20分)から終了15分後の新年の幕開け(1月1日午前0時)までに発信された「NHK紅白」などの言葉を含むもの。ほかの人の投稿をそのまま広げた「リツイート(RT)」も含んでいる。投稿を1分ごとに集計したグラフを見ると、幕開け直後の巨大な「山」の後、2つの大きな山が現れる。