「第39回産経国際書展新春展」(産経新聞社、産経国際書会主催)が1月25日から2月6日まで、東京都港区の国立新美術館で開かれる。一般公募の部で、産経新聞社賞に輝いた本県出身で北海道帯広市の後藤正子さん(68)に喜びの声を聞いた。
受賞作は、奈良時代の歌人、山部赤人(やまべのあかひと)が詠んだ春の歌四首を題材に、行草書体で書き上げた。
「この歌の流れにひかれて選びました。1行目の終わり〝念(も)ひし〟と〝梅の花〟の文字の位置やバランス、絡みが難しかったです」と振り返る。そして「線は細くしようと心がけました」という通り、繊細な線が印象的だ。
後藤さんは、生まれ育った旧勝田市(現ひたちなか市)で小学2年から高校3年まで書の練習を重ねた。結婚後は、嫁ぎ先の帯広市でも30年ほど、書家の横山淡翠氏が高齢で転居されるまで教室に通っていた。
転機は平成20年ごろ。書道誌「草心」に掲載されていた一つの書に目が留まった。広島県で蒼風会を主宰する鈴木蒼氏の作品。「斬新で優麗な字に感動し、鈴木先生に連絡して入門させていただきました」
その後の練習は、後藤さんが書いた文字を鈴木氏に郵送して添削をしてもらい、直した箇所や筆遣いなどについて鈴木氏から電話で説明を受け、その添削内容が郵便で届くという形で腕を磨いていった。
「添削のたびに、先生の芸術性をいただいています。書家として先生を尊敬申し上げているので、少しでも近づけるようにがんばりたい」と抱負を述べた。(堀口葉子)
「第39回産経国際書展新春展」(産経新聞社、産経国際書会主催)は1月25日から2月6日まで、東京都港区の国立新美術館で開催。入場料は一般500円、65歳以上と大学生以下は無料。午前10時~午後6時(最終日は午後3時まで)。1月31日は休館。