大阪のど真ん中で貨物列車の珍形態 「うめきた」路線の急勾配で補機連結

西九条駅を通過する安治川口駅行きの貨物列車。最後尾に補機が連結される
西九条駅を通過する安治川口駅行きの貨物列車。最後尾に補機が連結される

大阪駅(大阪市北区)北側の「うめきた地区」を走る東海道線支線の地下化で、全国でも珍しい形態の貨物列車が走ることになる。編成の最後尾に補助の機関車を連結し、地下から地上に出る際の上り坂で後押しするのだ。地下新線への切り替え工事が完了する2月13日から、その光景を見ることができる。

地下化で「難所」発生

同線の地下化に伴って3月18日に開業する大阪駅地下ホームには、関西空港駅に直通する特急「はるか」、和歌山方面への特急「くろしお」が停車するなど、旅客列車の利便性が向上する一方、貨物列車にとっては「難所」が発生。地下10~15メートルの地下ホームから地上に戻るため、路線が新大阪方面で最大23・5パーミル(千メートル進んで23・5メートル登る)、西九条方面で22・6パーミルの急勾配となった。

「はるか」などの電車は問題ないが、約千トンの重量があり、動力を持たない貨車を先頭の機関車が引っ張るだけでは登れないため、列車を後押しする補助機関車(補機)を最後尾に連結することになった。

JR貨物によると、定期の貨物列車で補機をつけるのは、広島県内を走る山陽線にあるだけ。瀬野駅(広島市安芸区)から隣の八本松駅(東広島市)に向かう、通称「セノハチ」と呼ばれる22・6パーミルの急勾配に対応するため、上り列車のみ、広島貨物ターミナル駅(広島市南区)と西条駅(東広島市)間の30・2キロで補機がついている。

広島県内の「セノハチ」を走る補機の運転台から見た貨物列車(JR貨物提供)
広島県内の「セノハチ」を走る補機の運転台から見た貨物列車(JR貨物提供)

「セノハチ」は山間部だが、「うめきた」は大阪の都心の真ん中。今回の地下化の工事区間約2・4キロ(トンネル区間1・7キロ、掘割区間新大阪方面0・4キロ、西九条方面0・3キロ)は前後付近に地下鉄御堂筋線、大阪環状線などが通るため、地上に出る地点をずらし、勾配を緩やかにすることができなかった。

報道関係者に公開された大阪駅地下ホーム。2月から補機付きの貨物列車が通る=昨年12月(沢野貴信撮影)
報道関係者に公開された大阪駅地下ホーム。2月から補機付きの貨物列車が通る=昨年12月(沢野貴信撮影)

「セノハチ」で研修

うめきた地区再開発の一環で地下化事業を進める大阪市から相談を受けたJR貨物は、先頭の機関車の重連化といった対策も検討したが、最終的には補機の採用しかないと判断。昨年度に吹田機関区の運転士7人を「セノハチ」へ派遣し、補機の運転技術を取得してもらい、彼らが同機関区の他の運転士約70人を指導した。さらに補機を担う電気機関車「EF210形式300番代」の増備するなど準備を進めてきた。

「うめきた」の補機は吹田貨物ターミナル駅(大阪府吹田市・摂津市)から新大阪駅(大阪市淀川区)、大阪駅地下ホーム、西九条駅(同市此花区)を経て安治川口駅(同)までの16キロで2往復(始発日基準で休日など運休あり)に連結される。地上区間などは先頭の機関車に引っ張られる形で、上り勾配に差し掛かると後押しを開始する。大阪駅地下ホームの3月18日開業に先立ち、地下新線に列車が通り始める2月13日から補機運転が始まる。

補機に使用される電気機関車「EF210形式300番代」=JR西条駅
補機に使用される電気機関車「EF210形式300番代」=JR西条駅

JR貨物インフラ整備推進部副部長の椿辰治さんは「急勾配はない方がいいが、都市計画へ協力するため補機を採用した。これからも安定した輸送サービスをしっかり提供していきたい」と話している。

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