「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなど、企業に大幅賃上げの機運が生まれている。実質賃金の低下が止まり、四半世紀にもわたるデフレの終焉(しゅうえん)を期待させる。なのに岸田文雄政権が増税や日本銀行の次期総裁選びを通じて金融緩和の軌道を修正させるなら、チャンスは失われよう。
岸田首相は「物価高を上回る賃上げ」を呼びかけるが、自身は防衛増税にのめり込んでいる。首相提唱の「異次元の少子化対策」の財源として消費税増税が政府・与党内で浮上する。
消費税増税で物価は強制的に押し上げられるが賃金はほとんど上がらない。あるいは、物価は下がっても賃金がもっと下がる。消費者のフトコロ具合が悪くなるから需要が萎縮する。これをみて企業は賃金アップを渋る。この悪循環が慢性デフレ病であり、平成9年の消費税増税に始まる。