大相撲初場所千秋楽は22日、大関貴景勝が相星決戦で平幕琴勝峰をすくい投げで退け、12勝3敗で令和2年11月場所以来3度目の優勝を果たした。
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3場所続いていた平幕優勝の流れを断ち切り、ただ一人の大関として、貴景勝が番付の威厳を保った。賜杯が懸かった一番は、まさに貫禄勝ちだった。千秋楽の結びが初めての琴勝峰を立ち合いから押し込み、左差し。前に出続け、太い左腕を突き付けるようなすくい投げで相手を1回転させて土俵にたたきつけた。日頃から、突き押しだけで勝負を決められない場面も想定しながら稽古してきた成果だろう。
13場所ぶり3度目の優勝を遂げた直後の支度部屋、「一日一日の…」と語り出したものの、呼吸が乱れて言葉が継げない。しばし息を整えてから「…積み重ねなんですけど、途中、苦しい場面もあった。治療の面、家族、いろんな人に支えられて、元気づけてもらって最後まで諦めずにやって来られた」と一気に思いの丈を口にした。義父である大関北天佑の優勝回数を超えられたことが「すごくうれしい」という。
過去2度の優勝は場所中に連敗がなかった。しかし今場所は、中盤戦の激しい取組のダメージが残っていたか、11、12日目と続けて黒星。綱取りも絶望視される中、崩れず、立て直せたことが大きかった。
3月の大阪が改めて横綱昇進を懸ける場所になることについて、審判部の佐渡ケ嶽部長(元関脇琴ノ若)は「まだそこは私たちは何とも言えない。(12勝という)星もある。相撲内容も」と慎重な物言いだ。
ただ、横綱審議委員会の横綱推薦内規「2場所連続優勝か、それに準ずる成績」に照らせば、貴景勝は挑戦の資格を得たといえる。「謙虚に日々の生活と稽古を頑張っていけば、いずれ報われてくると思う。頑張っていきたい」。兵庫県出身の26歳が地元関西で悲願成就に挑む。(宝田将志)