防衛省が中国の南西諸島侵攻に備え、沖縄で初めてとなる補給拠点を新設する行程表が22日、明らかになった。陸上自衛隊の沖縄訓練場(沖縄市)に5年後までにロケット弾や迫撃砲といった弾薬を保管する火薬庫を設ける。敵の射程圏外から攻撃できるミサイルを導入することも踏まえ、米軍嘉手納弾薬庫地区(沖縄市など)を改修し、火薬庫を令和7年度以降に共同使用する方針だ。
沖縄は南西諸島有事で最前線となり、補給拠点は欠かせない。離島奪還作戦を担う陸自水陸機動団や、中国海軍艦艇を迎え撃つ地対艦ミサイル部隊が対処するためには新設が急務だ。
沖縄の補給拠点は「九州補給処沖縄支処」とする。
補給処は弾薬や燃料を保管し、車両や化学、通信、衛生の装備を保管したり整備したりする後方支援拠点。北海道から九州に置き、支処と出張所が全国に27カ所ある。
だが、沖縄には支処も出張所もなく、物資は必要に応じて県外から輸送している。有事の際も輸送が必要で、沖縄に備蓄している弾薬の不足は南西諸島防衛の実効性を損なわせる欠陥と指摘されてきた。
防衛省の行程表によると、沖縄訓練場に設ける支処には庁舎と火薬庫、燃料施設を設ける。①計画検討、調査・設計に1年ずつ②工事に2年③火薬庫の建設に1年-と見積もり、施設整備の完了は5年後の9年度末を予定している。
ただ、支処だけでは十分な保管量とはいえない。
南西諸島有事では日本版海兵隊の水陸機動団を展開させ、全国の部隊も派遣する。沖縄の宮古島には警備部隊を配置しており、初動対応にあたらせる。石垣島にも部隊配置を計画している。敵の射程圏外から発射するスタンドオフミサイルも新たに導入する。
これらに対応できるだけの弾薬を備蓄しておくため米軍嘉手納弾薬庫地区を共同使用する。行程表によれば、嘉手納弾薬庫地区の火薬庫を使うため来年度中に日米両政府で合意し、火薬庫の改修を行い、7年度以降に使用することを目指す。