宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で19日、関係者の新型コロナウイルス感染で中止になっていた花組公演「うたかたの恋」が再開した。オーストリア皇太子と男爵令嬢の身分違いの悲恋をロマンチックで壮麗な舞台に昇華させた宝塚歌劇の名作で、花組トップスターの柚香光(ゆずか・れい)が美しい軍服姿で聡明(そうめい)で繊細な皇太子のルドルフを好演している。「マリー、来週の月曜日、旅に出よう」。柚香が優しくささやくかの名せりふが大劇場に切なく響く。
「うたかたの恋」は19世紀末に起きた実際の心中事件を扱ったクロード・アネの小説を原作に、柴田侑宏(ゆきひろ)が昭和58年に舞台化した。全国ツアーなどで再演を重ねてきたが、大劇場での上演は30年ぶりとなる。