(月刊「丸」・昭和37年9月号収載)
身が引き締まる初陣
昭和十六年十二月八日、昨夜の寝不足もどこかにケシ飛んで、急いで出撃準備にかかった。外はまだ暗い星空である。
やがて搭乗員に対して艦長の激励の訓示があり、旗艦のZ旗があがるや、まだ暗い中を第一次攻撃隊が発進した。
「蒼龍」戦闘機隊は第一次に管波政治大尉の中隊九機が飛び立った。一次がつぎつぎと発進し終わるや、ただちにわれわれ第二次攻撃隊の準備が始まる。飛行甲板格納庫は、整備員がいそがしく働いている。
その間にわれわれ乗員は、あらかじめ打ち合わせを確認したり、上層気象観測の結果による風向風速のデータによって、往復の針路、到着時間を計算し、各自のメモに書きとめたり、指揮官の注意、訓示をうけたり、出発準備にかかった。