加藤厚労相インタビュー「ウィズコロナ移行進める」

インタビューに応じる加藤勝信厚労相=12日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)
インタビューに応じる加藤勝信厚労相=12日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)

政府は新型コロナウイルスの感染対策と社会経済活動の両立を目指すが、足元では流行の「第8波」による死者の急増などに直面している。国内で感染者が初確認された3年前も厚生労働相を務め、岸田文雄内閣でもコロナ対応にあたる加藤勝信厚労相が産経新聞のインタビューに応じた。

--中国での感染爆発や、米国で感染が急拡大するオミクロン株派生型の影響が懸念されている

「中国ではかなり感染拡大が進んでいるとの話もある。日本国内へのウイルス流入の急増を避けるため、中国からの入国時、全員に抗原検査を行う臨時措置を始めた。米国での新たなウイルスは感染力がかなり高いとの指摘もある。動向に注意を払っていく」

--結核並みに厳しい新型コロナの感染症法上の類型「2類」相当は、どうなれば季節性インフルエンザ並みに緩和できるか

「ときどきの感染状況よりも、①ウイルスの病原性(重篤度)②感染力③変異の評価④類型を変更した際にどんな医療提供体制が必要となるか-。この4つを(基準に)感染症の専門家組織などで深掘りの議論を行っている。最終的には感染状況も踏まえて判断する。早期に結論を出したい」

--初期段階と比べると国産治療薬やワクチンなど感染対策の武器もできた

「国内で感染が初確認された当時、私も含め、これほど長きにわたると想定した人はどれほどいただろうか。ただ、今はワクチンや簡易な検査キットなどが出来上がった。昨年11月に緊急承認された国産治療薬『ゾコーバ』は、国も200万人分購入する契約を結んだ。国内ではこれまでに1万3600人に投与されており、今後も円滑に供給できる体制をつくる」

--オミクロン株対応のワクチン接種率は伸び悩んでいる

「若い方も含め、積極的な接種の検討をお願いしたい。全人口に対する接種率は37%だが、重症化リスクの高い65歳以上は6割を超えている。他の国と比べても高い方でないか。3月末が無料接種の期限だが、以後の対応は一定のタイミングを見て結論を出す」

--米疾病対策センター(CDC)をモデルにした「日本版CDC」や、内閣感染症危機管理統括庁が新設される

「厚労省は『感染症対策部』を設置する。次の国会には日本版CDCを設置するための関連法案を出す。次の感染症の危機では危機管理統括庁と日本版CDCが全国的な情報・研究基盤として、より質の高い科学的知見を提供できる体制をつくりたい」

--国民も長期間我慢を強いられてきた

「地方自治体も、病床の確保や発熱外来の設置など一定の対策を進めてきた。重症化リスクのある高齢者を守ることに重点を置きながら、すでに『ウィズコロナ』という新たな段階への移行も進めている。昨夏くらいからぼちぼち地域のお祭りなどは復活してきた。3年前になかった武器を活用しながら(社会経済活動を)進めていきたい」

(聞き手 村上智博)

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