安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人罪などで起訴された山上徹也被告が今後法廷で何を語るのか、多くの人が注目しているだろう。ただ、犯行動機や生い立ちはすでに報道などで一定程度明らかになっており、本人が話したところで新しい事実が判明することは乏しいのではないか。
個人的には安倍氏を自作の銃で襲撃した理由について注視している。犯行に使用した銃は銃身内にライフリング(らせん状の溝)がなく、弾道が安定しなかったはずだ。試し撃ちをしていたとしても、なぜ弾がどの方向に飛ぶかも不明瞭な銃を作って襲撃しようと思ったのか不可解に感じる。ほかに銃を入手する手段がないか考えなかったのだろうか。
事件が社会に与えた影響を被告自身がどのように捉えているかという点も気になる。事件をきっかけに、政治家と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との接点が公になり、高額献金などの問題で教団は批判にさらされた。一番の目的は教団への恨みを晴らすことだったとはいえ、ここまで大きな波紋が広がるとは予想できなかったはずだ。