入試最前線

入学定員の半数は「推薦組」 、 進路めぐり一般入試組との間で教室もやもや 変わる大学入試

本番に向けて勉強に励む受験生たち
本番に向けて勉強に励む受験生たち

1月14日、15日の大学入学共通テストが目前に迫り、本格的な大学受験シーズンが到来。受験生たちは勝負のときを迎えている。緊張した面持ちで試験会場に向かう受験生の様子は、今も昔も変わらないが、受験事情は、団塊ジュニア世代が中心の保護者世代のころとは大きく様変わりしている。入試制度の多様化も進み、私立大も含め、国公立大も総合型選抜・学校推薦型(旧AO・推薦)入試の割合も増加。かつては「推薦組」は少数派だったが、今ではおよそ半数は、年内に進路を決めている。大学進学志願者数を入学定員総数が上回る「大学全入時代」も突入寸前のところまで来た。変わる入試の現状をリポートする。

先生は「推薦は逃げ」 進路めぐり教室もやもや

難関国立大学を目指して受験勉強をしている公立高校に通う女子高校生は、秋口から成績も少しずつ上昇しているという。

「勉強したい分野があるので、第1志望の大学にいきたいと思って勉強をしてきた。最終的には、共通テストの点数次第で、受験校を決めようと思うが、浪人も視野に入れている」と話す。

やりたい勉強のためにチャレンジするという典型的な受験生。進学校とあって進路指導も国立難関校を目指そうという雰囲気が強いというが、すでに「学校推薦」で進路を決めたクラスメートもいるそうだ。

ただ「先生は『推薦は逃げ。一般受験しなさい』といって一般受験を勧められた。どの大学に学校推薦枠があるのかさえ秋口ぐらいまで教えてもらえなかった」と口をとがらせる。推薦をめぐる学校の進路指導には不満があったようだ。

女子生徒の説明からは、学校側の進路指導として、できるだけ一般受験してほしい、という方針が垣間見える。ただ、この女子生徒が通う学校は地域の伝統校でもあり、名門私大の指定校推薦枠も多いといい、現実的には推薦組も少なくない。「定期テストなどを頑張って学校推薦をとりたい」と話していたクラスメートもいたという。

教室では、すでに進路が決まった生徒たちと受験を控えてピリピリする生徒たちの間で、少しもやもやした雰囲気が広がったこともあったそうだ。

薄れつつあるブランド志向

総合型選抜・学校推薦型(旧AO・推薦)入試は、私立大だけでなく、国公立大でも増加。いまや大学の入学定員全体のうちおよそ半数は「推薦組」といわれている。

4年入試では、全国の大学入学者のうち、推薦型選抜が約23万1千人(37・6%)、総合型選抜が約7万7千人(12・7%)と合わせて50・3%となり、初めて半数を超えたという。

かつて大学入試といえば、英語や数学の筆記試験というイメージだが、総合型選抜・学校推薦型入試では、志望理由書や面接・小論文などで決まるところも多い。

ベネッセ教育総合研究所が行った調査によると、受験生たちの進路選択の理由で「世間に大学名が知られていること」は平成20年の30・1%から9・5ポイント(令和3年)に減少。ブランド志向が薄れつつある現況もうかがえる。

一方、「合格が早く決まること」「試験日や試験会場が多く、受験しやすいこと」といった項目を回答した人が増えている。総合型選抜・学校推薦型の入試が増えたことで、できるだけ早い時期に進学先を決めてしまいたいと思う受験生の思惑もうかがえる。

ただ、ベネッセ教育情報センター長の谷本祐一郎さんは、「コロナ禍でオープンキャンパスに参加できず、文理選択や学部選びが十分にできない生徒も多く、自分の興味関心についてじっくり考える期間が少なかった影響もあるのかもしれない」と話していた。

「一般入試組」との学力差

だが、こんなにも総合型選抜・学校推薦型入試が増えたのはなぜなのか。

関西の中堅私大のある教員は「従来の筆記テストで取れないような、やる気がある受験生を取りたいという名目はあるのですが、早めに定員を確保したい大学側と一刻も早く受験勉強を終わらせたい受験生の思惑が一致しているという面もあります」と解説する。

18歳人口の減少で、大学側にとっては学生の確保は死活問題だ。一般入試の定員を削り、できるだけ早い段階で学生を確保しておきたい、という。

ただ、課題になっているのは「推薦組」と「一般入試組」の学力差だという。年内で入試を終え、受験勉強をしなくなってしまう「推薦組」と年明けのラストスパートまで勉強を続ける「一般入試組」の間には、学力差が生じがちだ。学習習慣すら保てなくなるケースもあり、課題になっているという。

合格後の「学習習慣」重要

総合型選抜・学校推薦入試では秋には合否が判明するケースもあり、早期に受験を終える受験生は増加傾向だ。文部科学省も「入学までに取り組むべき課題を課すなど、入学後の学習のための準備をあらかじめ講ずる」よう要請する。

日本大学商学部では、平成26年度早期入学決定者から「入学前プレ講座」と銘打ち、eラーニング教材を提供。新年度の入学予定者に向けて、英語や数学のほか、学部の必修科目である商学や会計学などの導入部分など計33コマのコンテンツを用意している。

入学前教育を担当する竹村亮教授は「入学後、一気に勉強がわからなくなることを避けるため、学習習慣の維持は欠かせない」と期待する。

講座を立ち上げたきっかけの1つが、入学直後の学生が受けるTOEICの成績。25年度の入学生のうち、一般選抜を経た学生と、それ以外の入学者では約140点の点差があったのだ。

入学前教育をめぐっては、文科省は高校側にも「学習意欲を維持するための必要な指導を行うよう努める」ことを求めているが、共通テストや一般選抜を控える生徒への対応で手いっぱいという学校も少なくない。日大のコンテンツ提供は高校側にはおおむね好評だという。

少子化・定員増で広がる門戸

親世代の受験に比べ、大学を選ぶ際のブランド志向は薄れつつあるという
親世代の受験に比べ、大学を選ぶ際のブランド志向は薄れつつあるという

保護者世代のころの大学受験と決定的な違いは、大学が「広き門」となっていることにほかならない。団塊ジュニア世代が受験した当時に比べると、競争は確実に緩和している。

受験生が大学に入りやすくなっている理由は大きく分けて2つ。

1点目は少子化。18歳人口が減っていることだ。団塊ジュニア世代が18歳を迎えた平成2年は、約200万人だったのに対し、令和5年の18歳人口は約109・7万人と半減している。

2点目は、大学側の定員の増加だ。昨年の入試の現役大学志願者数は65万8266人だったのに対し、同年の国公私立の大学定員数総数は62万3520人にまで迫っている。

もちろん「選ばなければ」という条件付きではあるが、「大学に合格するだけ」なら難しくない時代になっているといえる。

大手予備校、河合塾の担当者は「大学が受験生を選ぶ時代から、受験生が大学を選ぶ時代になった」と語る。浪人する受験生は毎年、減少傾向にあるものの「毎年、進学した大学に納得できないと再チャレンジしようとする仮面浪人生が少なからずいる」といい「安易に行ける大学を選ばず、本当に行きたい大学にこだわってほしい」と話していた。


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