4年に1度の統一地方選が今春行われるが、人口減少や過疎化が進む中、議員のなり手不足が深刻だ。前回は定数を上回る立候補者が出ずに無投票で当選した道府県議、町村議が全体のおよそ4分の1を占めた。女性や勤め人、若者らの参加を促し、なり手不足を解消するには何が求められるのか。一時は議会に代わる村総会導入を検討した高知県大川村の和田知士村長、若手議員に限り報酬を引き上げた長野県生坂(いくさか)村議会の太田譲議長、政治制度論が専門の大山礼子駒沢大教授に話を聞いた。
村総会検討も兼業禁止緩和で選挙戦 高知県大川村長・和田知士氏
高知県大川村は平成29年4月、村議のなり手不足から村議会が成立しないことも想定し、有権者全員が参加して意思決定する「村総会」の勉強を始めた。村民に関心を持ってもらおうと鼓舞するのが主な意図だったが、当時は「村議会廃止へ」と大きく報道され、全国から報道陣が大勢訪れて、人口約400人の村は大騒ぎになった。
村民の無関心は深刻。村長選や村議選では私が出ようとか誰かを推薦しようとかの動きがなく、無投票が多い。私の村長選も3回すべて無投票だ。公職選挙法の規定では、定数6の大川村議会は立候補者が4人以下なら成立しない。こうしたことから、地方自治法にある村総会の検討が必要と思ったのだ。
大川村の動きを機に総務省が設置した「町村議会のあり方に関する研究会」も指摘したが、議員のなり手不足の一因は報酬の低さ。大川村の一般議員は月額15万5千円で、年金受給世代ならいいが、子育て世代が議員活動だけで生計を立てづらい。交付税頼みの行政運営なので報酬を上げるのが難しく、研究会では「定数を半分にして報酬を倍に」との意見もあったようだが、議員3人の議会なんて民主主義といえないのではないか。