春節連休で訪日客急増 専門家は人手不足に懸念も

中華圏の旧正月「春節」(来年1月22日)前後の連休に訪日する外国人客の予約が急増している。水際対策の緩和と円安によるお得感が需要を牽引(けんいん)。アジア最大級のオプショナルツアー予約サイト運営会社の日本法人によると、現在のペースで増えると新型コロナウイルス禍前と同じか、上回る水準に達するという。ただ、宿泊業界の多くの事業者は人手不足に悩まされており、専門家は予想以上の訪日客の急回復に「予約を100%受けると(経営が)危ない」と忠告する。

予約サイト日本法人の「KKday(ケイケイデイ) Japan」が台湾や香港、シンガポールなど旧正月の連休がある9の国・地域を対象に、12月中旬現在の予約データから来年1月21~23日の状況を調査した。その結果、訪問先として日本は全体の67%を占め、2位のタイ(13%)に圧倒的な差をつける人気ぶりで、コロナ禍前と同等以上のペースで訪日予約が進んでいる。国内での訪問先は人気順に、大阪、東京、京都、山梨、沖縄の各都府県となった。日本法人の担当者は「10月の水際対策の大幅緩和で需要が爆発した。円安もあり、これまで以上に人が集まる可能性がある」と話す。

旅行大手のJTBでも団体パッケージツアーの売れ行きが好調だ。宿泊のみの商品に限れば「コロナ禍前に近づいている」(担当者)という。

だが、観光地のホテルでは、早くも予約の受け付けを絞る動きが出ている。

「春節あたりは8~9割の部屋が予約で埋まっていて、うち半分くらいは中華圏の方々だ。ただ人手が足りず、これ以上は海外の方には遠慮いただいている」

富士山展望が人気の山梨県富士吉田市にあるホテルの営業担当者は、心苦しそうに現状を説明する。

もともとの人手不足に加え、従業員も子供が感染して出勤できなくなるケースなどが続発。訪日客には言語や風習などの違いで日本人客よりも人手をかける必要があるといい、コロナ禍前並みのペースで予約が入る中、「目指すレベルのサービスが提供できない」と苦渋の決断をした。

訪日観光をめぐっては、中国が来年1月8日に「ゼロコロナ」施策を事実上撤廃、海外旅行が再開されると中国人客が日本に押し寄せることも予測される。

短期的にとり得る対策はあるのか-。東洋大の徳江順一郎准教授(ホスピタリティー・マネジメント)は「受ける予約を抑えつつ、料金を上げて従業員の給料も上げ、従業員と客の両方が離れるのを防ぐ。それが最低限できることだろう。下手に全ての予約を受ければ残った従業員にしわ寄せが行き、退職のスパイラルに陥る」と話している。(福田涼太郎)

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