堺市中区小阪の市道で27日夜、夜間パトロール中だった4人がはねられ、うち2人が死亡したひき逃げ事件で、亡くなった山中正規(まさのり)さん(46)と村上伸治さん(47)は、地域の行事に積極的に参加し、多くの地元住民から愛されていた。年の瀬に襲った突然の悲劇に悲しみが広がった。
「自慢の弟だった」。山中さんの姉は、そう絞り出した。大阪市子育て支援部管理課で課長代理として勤務し、明るい人柄で同僚からの信頼も厚かった山中さん。地元の祭りや行事にも進んで参加。地元の子供会のソフトボールチームで長く監督を務め、多くの子供たちから慕われていた。
年末の多忙な時期だったが、町内会が実施する夜間パトロール「歳末夜警」に加わり犠牲となった。姉は「自分の子供や家族もすごく大切にしてて、年末年始には旅行も計画していたみたいだ。(残された)お嫁さんや子供たちを見ているとやりきれない」と話した。
村上さんは内装業を営みながら、週末には山中さんらとともにソフトボールチームの指導に汗を流した。現場近くで美容院を営む40代女性は「優しそうに笑う人。だんじりのときも子供たちの引率を率先してやってくれ、子供が好きなんだなと思っていた」と話した。
歳末夜警は地元では年の瀬の恒例行事だった。町内会長の谷野一彦さん(64)は「2人は自分の時間を削りながら地域に尽くしてくれ、行事でも中心的な役割を果たしてくれた」と話し、「ひき逃げという非人道的な行為で命を落としてしまった。やりきれない思いで、悔しい」と唇をかんだ。