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クールジャパンの〝ネオ神社〟 創作の神威あらたか「武蔵野坐令和神社」 埼玉・所沢市

未来的な外観の武蔵野坐令和神社。奥にある巨岩のような角川武蔵野ミュージアムとの対比が面白い=埼玉県所沢市(中村智隆撮影)
未来的な外観の武蔵野坐令和神社。奥にある巨岩のような角川武蔵野ミュージアムとの対比が面白い=埼玉県所沢市(中村智隆撮影)

出版大手KADOKAWAが令和2年11月に埼玉県所沢市に開業した大型文化複合施設「ところざわサクラタウン」。日本最大級のポップカルチャー発信拠点のこの地に、未来的でひときわ目を引く建物がある。「武蔵野坐令和神社」というが、いわゆる伝統的な神社とは趣を異にする。その実は、クールジャパンを地で行く〝ネオ神社〟だった。

JR東所沢駅(所沢市)にほど近い住宅街を歩いていると突如、巨岩を思わせる物体が現れる。サクラタウンの中核施設で、図書館や美術館などが入る「角川武蔵野ミュージアム」だ。それに正対して建つのが武蔵野坐令和神社だ。

ミュージアムのどこかプリミティブ(原始的)な外観に対し、神社はガラスを大胆に取り入れたフューチャリスティック(未来的)な建物。そのギャップが目に楽しく、心が躍った。

武蔵野坐令和神社。「むさしのにますうるわしきやまとのみやしろ」と読む。神社のある武蔵野の地は元号「令和」の典拠となった歌集「万葉集」の舞台でもある。新元号を考案したといわれる国文学者の中西進氏が「うるわしく輝く日本(令和)の文化が、永久に継続発展せしめられんことを」との願いを込めて命名した。

そういわれれば華美な装飾を排除し、りんとたたずむかのよう。襟を正して拝殿へ。すると天井いっぱいに羽ばたく鳳凰(ほうおう)に目を奪われた。人気ゲーム「ファイナルファンタジー」のキャラクターデザインで有名な天野喜孝氏によるもので荘厳ながら身近さも感じた。

天野喜孝氏が鳳凰を題材に手掛けた拝殿の天井画について説明する小川泰弘宮司=埼玉県所沢市(中村智隆撮影)
天野喜孝氏が鳳凰を題材に手掛けた拝殿の天井画について説明する小川泰弘宮司=埼玉県所沢市(中村智隆撮影)

鳳凰に守られ祭られているのがアマテラスオオミカミとスサノヲノミコトで、二柱を「言霊大神(ことだまのおおかみ)」と呼ぶ。小川泰弘宮司によると言霊大神は文芸や芸術など全てのコンテンツに宿る神の威光の尊称だという。

授与品がこれまたユニークだ。人気漫画「文豪ストレイドッグス」との「コラボ朱印」や、締め切りを守って最高の仕事ができるという御利益のあるお守り「締切守」などをそろえ、アニメファンやクリエーターたちに人気なんだとか。

サクラタウンは「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の1番札所で神社にインフォメーションセンターを置く。「国内のファンはもちろん、これからは訪日外国人も期待したい」と小川宮司。クールジャパン再始動の牽引(けんいん)役と意気込む。(中村智隆)

メモ ▽所在地(ところざわサクラタウン)=埼玉県所沢市東所沢和田3の31の3▽アクセス=JR東所沢駅から徒歩約10分▽年末年始情報=授与所の開所は31日は午前10時~午後3時半、来年1月1日は午前0~2時と午前9時~午後5時。


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