フルモデルチェンジしたレクサスのSUV「RX」のなかでも、トップグレード「RX500h”F SPORT Performance”」を大谷達也が試乗した。
ダイレクト4の威力
なんの予備知識もなく新しいレクサスRX500h”F SPORT Performance”に試乗して、その乗り心地と安定した姿勢のバランスに度肝を抜かれた。
RX500h”F SPORT Performance”の足まわりは、路面からのゴツゴツした印象を見事に包み込んでしまうほどソフトでしなやか。通常、足まわりがこのくらいソフトだと、ブレーキを踏めばボディが前のめりになり、アクセルを踏めばボディが後下がりになるのが普通なのに、RX500h”F SPORT Performance”はそれらの動きがごく小さい。このソフト感とボディをフラットに保つ働きが、普通ではありえないくらい高い次元でバランスされていることに驚かされたのである。
その秘密は、「ダイレクト4」と名付けられた駆動力配分制御にあった。
前述のとおり、クルマはブレーキをかければ前のめりになるし、加速すれば後下がりになる。このように、ボディを真横から見たときに“やじろべぇ”のような動きをすることを「ピッチング」と呼ぶ。ただし、前輪で駆動して加速しているときに、後輪にもちょうどいい具合の駆動力をくわえると、加速時の後下がりを抑制することができる。反対に、減速時であれば、リアの制動力をうまいこと調整すると、やはり前のめりの姿勢を抑えることができる。
レクサスのダイレクト4は、こうしたリアタイヤにくわわる加速力や減速力を、後車軸上に搭載した後輪駆動用モーターで発生させることによりフラット感を作り出しているのだ。
こうした駆動力による姿勢制御が可能になったのは、前述のとおりリアタイヤを駆動する専用モーターを搭載しているため。これをレクサスは「eAxle」と呼んでいる。