スパック小学校のバスは、きょうりゅうくん。大きな足でドスンドスン。ガソリンは必要ないし、排ガスも出さないから気持ちよく学校に行ける。先生も子供も大好きだ。でも、とっても大きいので、ときどきやっかいなことが起きて-。
台湾で高い人気を誇るロングセラー絵本の邦訳。きょうりゅうくんと子供たちの心のふれあいを描き、通学が楽しくなる一冊だ。原著は10年前に出版され、2017年の新装版だけでも14刷を数える。同じシリーズに『きょうりゅうバスで としょかんへ』もある。
温かみのある絵を手掛けたリン・シャオペイさんは、台湾や中国で受賞歴がある人気作家。日本でも『カタカタカタ おばあちゃんのたからもの』で産経児童出版文化賞・翻訳作品賞を受賞している。
版権エージェントの太台本屋によると、台湾の絵本はかつて欧米や日本の翻訳本が多かった。だが、ここ10年はアート志向の高まりなどで絵本市場が活況を呈し、若い創作者が増えているという。発展する台湾の「今」も感じる。(リウ・スーユエン文、リン・シャオペイ絵、石田稔訳、世界文化社・1430円)
(寺田理恵)