【ワシントン=渡辺浩生】米国務省は16日、対中国外交を強化するため省内に「チャイナ・ハウス(正式名・中国調整部)」を立ち上げたと発表した。省内の中国専門家をはじめ広範囲な人材・機能を統合し「米国が対峙(たいじ)する最も複雑かつ重大な地政学的挑戦」である中国への戦略を効果的に実施することを狙う。
中国は世界規模で軍事・経済的な影響力を拡大しており、パテル副報道官は同日の会見で「中国との戦略的競争の規模や範囲」によって従来の発想にとらわれない横断的な組織が必要となったと説明した。
他の地域局、国際安全保障、経済、技術、多国間外交、戦略広報などの担当部局と協働し、迅速で一貫した政策の立案実施を図る。同盟諸国との調整も担う。
国務省や米メディアによると、チャイナ・ハウスは同省東アジア・太平洋局の中国担当部署に代わるもので、60~70人のスタッフを擁し、中国・台湾政策などを担当するウォーターズ国務次官補代理が所管する。ブリンケン国務長官が今年5月、対中政策演説で構想を明らかにした。
8月のペロシ下院議長訪台を契機とした米中関係の緊張を経て、11月にインドネシアでバイデン大統領が習近平国家主席と会談し衝突回避に向けた対話継続で合意した。これを受けてブリンケン長官が来年初めに訪中する方向で調整しており、チャイナ・ハウスを司令塔に「対中競争の責任ある管理」を軌道に乗せる考えだ。