立憲民主党の泉健太代表は16日、政府が「安保3文書」で掲げた反撃能力の保有と、インフラ整備など防衛力を補完する予算も含め対国内総生産(GDP)比2%の達成に対し、「容認できない」との声明を出した。
声明で泉氏は、反撃能力に関し①先制攻撃とみなされるリスクが大きい②存立危機事態での相手領域内への攻撃を否定していない③専守防衛を逸脱する可能性がある-として容認できない理由を挙げた。そのうえで「わが国の防衛政策を担う責任政党として『外交安全保障戦略の方向性』をまとめ、国会での議論をリードしていく」と強調した。
ただ、日本維新の会や国民民主党が反撃能力の保有を容認し、すでに党としての考え方を公表したのとは対照的に、立民は党内議論が紛糾して党の見解を示せないでいる。16日の党声明で反撃能力の保有を「容認できない」としたものの、執行部は日本が相手の攻撃着手段階で攻撃する「第一撃」を否定するなど条件をつけて、部分的には容認する方向で党の意見を集約させたい考えだ。
というのも、先の臨時国会で維新との共闘が功を奏したことから、「今、維新を手放すべきではない」との意見は根強い。隔たりが大きいとされる安保分野で現実的な姿勢を打ち出し、維新との連携強化につなげたい思惑も透ける。
もっとも、立民内のリベラル派は条件をつけてもなお反撃能力には反対だ。結局、党として腰が定まらないまま、安保3文書は閣議決定の日を迎えた。(大橋拓史)