高市早苗経済安全保障担当相が防衛費増額の財源のうち1兆円強を増税によって賄うという岸田文雄首相の方針に異論を述べた余波が続いている。高市氏は首相に直接疑問をぶつけた後、トーンダウンしたとはいえ、「閣内不一致」の状況を露呈させた岸田政権は傷を負った。自民党内からは内閣改造に伴う高市氏交代論も出ている。
「再来年度以降の財源の問題であれば、賃上げや景況を見極めて検討を指示されてもよかったのではないか」。12日夜、全閣僚が公邸に集まった夕食会で、高市氏は隣に座った首相に訴えた。首相は「誠実に国民に負担の必要があることを伝えるべきだ」と返した。
事の発端は10日、首相の増税方針に対し、高市氏がツイッターに「賃上げマインドを冷やす発言をこのタイミングで発信された真意が理解できない」と投稿したことだ。12日の夕食会の席上、首相に意見を伝えたくても面会の約束を取りにくいと伝えたところ、首相は「もう少し官邸と閣僚の間の連絡を密にしなければいけない」と語った。