ダムに身を投げようとした大学生を保護 監視員の男性に感謝状

自殺をしようとした男性を保護したとして感謝状を贈呈された福田勤さん(右)=京都府宇治市
自殺をしようとした男性を保護したとして感謝状を贈呈された福田勤さん(右)=京都府宇治市

アルバイト先での人間関係に悩み、天ヶ瀬ダム(京都府宇治市)から身を投げようとしていた男子大学生に声をかけて思いとどまらせたのは、ダムの監視員として働く男性だった。前日に続いてダムを訪れていた大学生の姿を不審に思い、注意深く見守り続けた結果が功を奏した。府警宇治署は監視員の福田勤さん(74)に感謝状を贈呈した。

8月8日正午ごろ、福田さんは昼休憩を終えて勤務に戻った直後、ダムを一望できる管理支所のモニター室から、ダムの欄干に足をかけて乗り越えようとした大学生を発見した。

「自殺しようとしている」。福田さんはすぐに大学生の元へ走った。実は、福田さんはこの大学生の様子を気にかけていた。前日の7日もダムが開く午前7時50分から閉まる午後4時15分まで、敷地内のベンチに寝そべり、スマートフォンを見て過ごしていたからだ。8日も午前9時ごろから前日と同じベンチに腰かけていたことから、注意深く様子を見ていたという。

「どうしたん」。駆け付けた福田さんが声をかけると、大学生は「死にたい」と声を発し、全身の力が抜けたように地面に崩れ落ちた。福田さんは「どこから来たの」など、他愛のない会話を約20分続け、管理支所に連絡した。

「説得しようとすると、かえって自殺の意思を固めてしまうのではと思い、あえて世間話をした」と福田さんは振り返る。大学生はその後、支所でカレーライスを食べ、110番で駆け付けた宇治署員に保護された。

宇治署から感謝状を贈呈された福田さんは「助かってよかった」と笑顔を見せ、前田昭人署長は「尊い命を守ってもらって感謝している」とたたえた。

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