〈くらき夜はくらきかぎりの寒さかな〉(白雄)。近年、暑さ寒さが身に染みる季節には、電力需給は大丈夫かと気になり始める。今年3月、東京電力と東北電力管内で初の電力需給逼迫(ひっぱく)警報が出され、ブラックアウト(広域停電)の回避が呼びかけられたのは記憶に新しい
▼現在、中国電力など5つの電力会社が経済産業省に来年4月からの料金値上げを申請している。値上げ幅は北陸電力が45・8%、沖縄電力が39・3%にもおよび、家計を直撃する。そんな中で東京都の小池百合子知事が、新築戸建て住宅に太陽光パネル設置を義務付ける条例改正に突き進むのはどうなのか
▼太陽光パネルは暑い夏も、日光が弱い冬も発電効率が落ちる。都湾岸部に広がる海抜ゼロメートル地帯が大規模水害で水没すれば、漏電・感電の危険がある。パネルの破損状況次第で鉛やセレン、カドミウムなどの有害物質が流出する。リサイクル体制も万全ではない