長く使用できる天然素材の皮革製品や羽毛をリユース(再使用)し、次の持ち主につなごうとする動きがファッション業界で広がっている。限りある素材の有効活用は環境保護だけでなく、消費者がお手頃な価格で本格的な商品を手に取れる好機にもなる。物を大切に最後まで使いたい日本人の「もったいない」精神も、リユース商品が受け入れられる素地となっているようだ。
革製品は経年変化も魅力
クリスマス商戦を控えた11月中旬、大阪・梅田のグランフロント大阪にある土屋鞄製造所の店舗。主力商品のランドセル売り場の一角に、色鮮やかな女性用トートバッグやハンドバッグ、男性用のビジネスバッグが並んでいた。
いずれも顧客から引き取った自社の革製かばんの「リユース商品」。職人がクリーニングやパーツ交換、糸の補修などを施し、一点一点に修理の内容を記したカードを付けた。東京に続き大阪で初めての期間限定販売で、各地から顧客が訪れた。
リュックを肩にかけて使い心地を確かめていた京都市右京区のアパレルメーカー社員、長瀬快さん(24)は「両親にもらった財布を愛用してきた。革の経年変化を楽しめるから、リユース商品にも興味があった」。神戸市東灘区の主婦(65)は緑色の革を使った斜め掛けのバッグを購入。「見たことがない商品で、きれいな色が気に入った。同じ色の財布も新調したい」と喜んでいた。