主張

イランの抗議デモ 血の弾圧を直ちにやめよ

テヘランで警察に拘束され、死亡した女性への抗議デモをする人たち=9月21日、イラン(ゲッティ=共同)
テヘランで警察に拘束され、死亡した女性への抗議デモをする人たち=9月21日、イラン(ゲッティ=共同)

イラン各地で、政府への抗議デモが2カ月以上続き、人権弾圧を監視する非政府組織によると、470人ものデモ参加者が殺害された。未成年者の犠牲者も多く含まれているという。

言論や集会の自由が厳しく制限されているイランで、これほど長く抗議活動が続くのは極めて異例であり、長年の抑圧や経済の低迷で鬱積した政府への怒りが噴き出した末の流血の大惨事だ。

イラン当局は弾圧を直ちに中止し、国民と対話すべきだ。弾圧の継続は国内の亀裂と、国際社会からの孤立を深めるだけである。

きっかけは9月中旬、首都テヘランを旅行中だったクルド系の22歳の女性が、髪を覆うスカーフ「ヘジャブ」のかぶり方が不適切だとして風紀警察に拘束され、3日後に急死したことだ。女性は拷問の末に亡くなった疑いがあり、当局への反発が広がった。

イスラム教シーア派の法学者が統治するイランでは、女性はヘジャブで頭髪を覆い隠すよう義務付けられている。

だが、どこまで隠す必要があるかは時の政権の裁量による。昨年発足したライシ政権は厳格な着用を強いており、風紀警察による取り締まりが強化されていた。

デモにはイラン革命を知らない10~20代の若い世代を含む幅広い層が参加し、最高指導者ハメネイ師や革命体制そのものへ非難が向けられていることが今回の長期デモの特徴だ。

サッカーのワールドカップ・カタール大会では代表選手が国歌を斉唱せず抗議の姿勢を示し、ハメネイ師のめいも逮捕されるなどの広がりもみせている。

イラン検察当局が「風紀警察の活動停止」を発表するなど、弾圧緩和を示唆する報道もあるが、実効性は確認されていない。

イランは、ロシアとの軍事協力も進めている。イランがロシアに提供した無人機による攻撃で、多くのウクライナ国民が犠牲となった。弾道ミサイルの供与でも合意したとの報道がある。米当局者はロシアがデモ弾圧の手法をイランに伝えていると指摘した。

ロシアへの肩入れは、国際社会からの批判を招くだけでイランの利益にはならない。

国民への弾圧を中止するとともに、欧米などとの核合意の修復協議に戻り、経済再建に取り組むべきである。

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