1871年に成立したドイツ帝国は、鉄血宰相と呼ばれたビスマルクの卓越した政治手腕により急速に国力を伸ばした。ただ第一次大戦後の1918年まで47年間しか続かなかった。短命の帝国は「第二帝国」と呼ばれることがある。約千年続いた「神聖ローマ帝国」を「第一帝国」とすれば、ナチスドイツが自らを称した「第三帝国」との間にはさまれているからだ
▼ドイツ連邦警察は7日、連邦議会を襲撃して政府転覆を図ったとして、25人を逮捕した。主犯の一人は「ハインリヒ13世」を名乗る71歳の男である。かつてドイツ東部を領有した貴族の末裔(まつえい)だという。ロシア政府に接触しようとした、との報道もある。元軍人や現役の裁判官も含まれていた
▼当局は極右勢力である「ライヒスビュルガー」(帝国の住民)も関与しているとみる。一部のメンバーは、現在の連邦共和国の存在を否定して「第二帝国」をモデルにした新たな国家の樹立をめざしてきた