露野党指導者に実刑 「露軍の信用失墜」罪で

ロシアの首都モスクワの裁判所は9日、ウクライナ侵略を巡る「虚偽情報」をインターネット上で拡散し、露軍の信用を傷つけたとする罪に問われた露野党指導者、イリヤ・ヤシン氏(39)に禁錮8年6月(求刑同9年)の実刑判決を言い渡した。タス通信が伝えた。同氏への厳しい判決は、侵略開始後、プーチン政権の言論弾圧と情報統制が一段と強まっていることを鮮明にした。

ヤシン氏は公正な選挙を求めるデモを組織するなど有力な野党指導者の一人。同氏は4月、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャで見つかった多数の民間人の遺体について、露軍が殺害に関与した可能性を自身のユーチューブ番組で示唆。民間人殺害を否定する露政権側は、「虚偽情報」で露軍の信用を傷つけたとする容疑で同氏を拘束し、後に起訴していた。

ヤシン氏は客観的な見解を述べたに過ぎないとして無罪を主張。5日の最終意見陳述では、「私の使命は真実を伝えることだ。刑務所に送られようと、誠実な人間であり続ける方が沈黙を続けて後悔するよりもよい」と表明。プーチン氏を「ウクライナ国民だけでなく露国民も不幸にしている」と批判し、「ロシアはいつの日か、自由で幸せな国になる」と述べた。

露政権は近年、反体制派指導者ナワリヌイ氏を収監し、今年のノーベル平和賞の受賞が決まった人権団体「メモリアル」を強制解散させるなど言論統制を強化してきた。侵略開始後は情報統制をさらに強め、政権側に不都合な情報を隠蔽する一方、国家や軍への批判を事実上禁止。新聞「ノーバヤ・ガゼータ」やラジオ局「エホ・モスクブイ」などリベラル派メディアは軒並み活動停止に追い込まれた。

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