<特報>中国、経済疲弊で「ゼロコロナ」緩和 景気回復は不透明

9日、北京市中心部の繁華街・王府井は、昼時にもかかわらず人通りがまばらだった(三塚聖平撮影)
9日、北京市中心部の繁華街・王府井は、昼時にもかかわらず人通りがまばらだった(三塚聖平撮影)

【北京=三塚聖平】中国政府が、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に食い止める「ゼロコロナ」政策の大幅な緩和を進めている。各地に広がった抗議活動に加え、中国経済の疲弊により緩和を余儀なくされた形だ。習近平政権は対策緩和で経済活動が本格化すると期待するが、規制緩和で感染者数の急増も見込まれる。思惑通り景気が回復するか先行きは不透明だ。

李克強首相は8日、安徽(あんき)省黄山市で世界銀行のマルパス総裁と会談し、感染対策の緩和で「中国経済の成長は引き続き進むだろう」と強調した。中国政府は7日に自宅隔離の容認など防疫措置の大幅な緩和を発表しており、李氏は緩和効果に期待を示した。

緩和の背景にあるのは経済の悪化だ。7~9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比3・9%増と力強さを欠き、政府の通年目標「5・5%前後」は困難に。今秋に中国各地で感染が拡大し、移動制限が強化されたことで景気はさらに落ち込んだもようだ。

中国自動車工業協会が9日発表した11月の新車販売台数は、前年同月比7・9%減の232万8千台だった。上海市がロックダウン(都市封鎖)されていた今年5月以来、半年ぶりの前年割れだ。同協会は、コロナ禍の影響で「消費者の自動車購入ニーズが妨げられている」と指摘した。

政府にとってはPCR検査などの費用が財政的な負担となっていた。中国全土の大都市などで大規模なPCR検査を続けると、関連支出が年間1兆7千億元(約33兆円)に達するとの民間試算もあり、財政状況が悪化した地方政府では公務員給与の遅配や未払い、公立病院の運営難などが伝えられていた。

野村ホールディングス傘下の野村国際(香港)は7日のリポートで「中国は自ら作ったゼロコロナのわなからとうとう抜け出しそうだ」と指摘。来年の成長率の予測を従来の4・0%から4・8%に引き上げた。

ただ、習政権の青写真通りに景気が回復するかは予断を許さない。防疫措置の緩和で感染者数の急増が見込まれ、物流の乱れや、工場などで作業員が確保できないといった混乱も懸念される。医療が逼迫(ひっぱく)し、行動制限が再び強化されることも考えられる。

感染への恐れも消費回復を阻みそうだ。北京市の繁華街、王府井では9日、昼時にもかかわらず買い物客らの姿はまばらだった。行列ができていた薬局では、来店客が抗原検査キットや薬を買い求めていた。

また、感染対策の長期化で、庶民は雇用、所得環境の悪化に直面し、消費意欲を減退させている。抗議デモが広がりを見せた背景にもこうした経済的な事情があり、引き続き景気回復を阻む要因になりそうだ。

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